思えば2003年のテレビ出演以来,個人的には長らくその活躍を目にすることがなかった石橋けいちゃんが舞台に出演していることを偶然知り,急遽観劇に行きました.実に5年ぶりに見たけいちゃんは色っぽい大人の女性になっていました.まったく思いがけず生のけいちゃんに出会えたこと,そして久方ぶりにけいちゃんの項を更新できることが嬉しいですね.
「新しい橋」の台本表紙の表と裏です.宣伝チラシをそのまま台本表紙にしているようです.表紙の意味深なデザイン(折れた割箸と血痕?)は何を意味しているのでしょうか.未だにその意味を掴みかねています.
台本表紙裏面のけいちゃんの写真のクローズアップ.改めて気付いたのですが,1978年生まれのけいちゃんは今年,三十路に…… これは軽い衝撃というかちょっと信じられないというか,もう「けいちゃん」なんて呼んではダメなのかもしれません.月日は流れたわけだ.(遠い目)
ついでに,観劇の経緯や感想などを少し.
そもそも,この観劇時に上京したのは,セラミュ・元プルートの斉藤レイさん出演の舞台「星屑の街」(新宿コマ劇場)と,同じく元プルートの中澤聖子さん出演の舞台「パパ・タラフマラの新・シンデレラ」(下北沢,ザ・スズナリ)を観るためでした.まず「星屑の街」を観劇し,次に下北沢に移動して劇場ザ・スズナリを探していたそのとき,この「新しい橋」の掲示チラシに気付き,石橋けいちゃんの出演を知って狂喜驚愕したのでした.
実はちょうどこの時期(2008年2月)に「第18回下北沢演劇祭」という行事が開催中で,下北沢駅周辺の劇場群で様々な舞台作品が上演されており,「新・シンデレラ」も「新しい橋」もその演劇祭参加作品だったのです.上演スケジュールを見ると「新・シンデレラ」の観劇後に「新しい橋」を観ることが可能だったので,観劇を即決しました.しかし,思い立ったら一日に舞台を三つハシゴできるんですから,東京というのは凄いところです.
さて,会場となった下北沢駅前劇場は小さな劇場で,「新しい橋」も出演者が6人(石橋けい,深浦加奈子,古舘寛治,金谷真由美,岡部たかし,小浜正寛),登場人物が7人(石橋けいちゃんが1人2役)という小品でしたが,見ごたえのある深い作品でした.
東尋坊を思わせる海岸にヒロインの真山橋子(深浦加奈子)がたたずむシーンから物語は始まります.橋子の夫・真山純造(古舘寛治)は,会社で不倫したりトラブルの責任を部下の添島竜彦(小浜正寛)押し付けたりするような嫌な人物で,夫婦仲は冷え切っています.上司・純造から理不尽な叱責を受けた竜彦は純造への当てつけに会社の屋上から飛び降りようとしますが,同僚OLの佐久間倫子(石橋けい)に引き止められます.このことで竜彦は倫子に好意を抱きますが,実は倫子こそが純造の不倫相手だったりするのです.ヤケクソ状態の竜彦は気晴らしにホテトル嬢を呼ぶのですが,やって来たホテトル嬢がなんと上司・純造の妻・橋子でした.橋子は夫に内緒で風俗業のアルバイトに手を出していたのです.また,純造・橋子夫妻の一人娘・真山ことみ(石橋けい,2役)は,問題山積の家庭環境のためか精神を病んで自傷行為を繰返し,療養中です.もう見事にグチャグチャです.
そんなグチャグチャドロドロの中,墨田すみれ(金谷真由美)とその夫・墨田トシオ(岡部たかし)の2人だけが割とまともな人物として登場しています.すみれは橋子の妹であり,またトシオは竜彦と同じく純造の部下であって竜彦の後輩にあたるという近しい関係です.それゆえ墨田夫妻は真山夫妻の夫婦関係と会社の人間関係が壊れてゆくのを食い止めようとしますが,竜彦がホテトル嬢・橋子との関係を全員にぶちまけてしまい,もう全てが修復不能になってしまったかと思われたのでした.
このように,二組の夫婦の家庭と,その夫達が働く職場における人間関係が様々な問題−上司と部下の軋轢,夫婦の不和・不倫,心の病と自傷など−を抱えて崩壊してゆく様子が,時折笑いを挟みながらもシリアスに描かれます.どこまでが現実の話でどこからが回想あるいは心象風景(?)なのか,その境目がはっきりしない演出,そして主演・深浦加奈子さんの独特な存在感も相まって舞台は終始不穏な緊張感に満ちています.海岸にたたずむ橋子の前に夫と娘が姿を現すラストシーンは,私の弱い頭では解釈しかねるのですが,少なくともバッドエンドではないように感じました.緊張の糸がフッと緩んだ,そんな感じがしました.
で,2役を演じた石橋けいちゃんですが,真山ことみ役では基本的に焦点の定まらない目をして無言のままベッドでじっとしているという感じです.そのときの,どこかへ“逝ってしまった”ような姿も印象に残ります.しかし,問題は佐久間倫子役です.
先に書いたように,倫子は会社の屋上で自殺しようとしていた竜彦を引き止めます.そのとき,竜彦ともみ合った拍子に倫子のシャツが右腕の付け根のところで破れてしまいます.その後,場面は純造と倫子の社内不倫シーンへ移るのですが,そこで純造は倫子のシャツの裂け目を利用して脇の下から攻めてゆくのです.もう,脇を攻められるけいちゃんが悩ましいというか色っぽいというか,たまりません(^_^;).嬉しいような嬉しくないような,とりあえず純造絶対許さんというか.(笑)
この後にも再度不倫シーンがあって,純造と倫子がねっとり濃厚なキスをするのですが,脇攻めのフェティッシュでややアブノーマルなインパクトに比べたら屁みたいなもんです.(笑)
ということで,ダラダラと駄文を書き連ねた挙句に脇で締めるのかよという感じですが(汗),とにかく5年ぶりに見た石橋けいちゃんは,そして初めてナマで見た石橋けいちゃんは,色っぽい素敵なオトナの女優になっていたということを再確認して「新しい橋」の項を終わりにしたいと思います.
ついでと言っては何ですが,この物語における諸悪の根源(笑)・真山純造を演じた古舘寛治さんは,「NOVA」のCMで "Sorry, I said too much." とか何とか言っていた「タケちゃん」を演じていた方だそうで.そして,この舞台の演出をした山内ケンジさんという方が「NOVA」のCMのプロデューサーだったそうで.へぇー.
追悼・深浦加奈子さん (初稿2008/09/30トップページ掲載,改訂2008/01/12)
「新しい橋」主演の深浦加奈子さんが2008年8月25日に逝去されました.とくに深浦さんのファンだったというわけではないのですが,この舞台での深浦さんの独特な存在感が強く印象に残っていたので,この訃報には目を疑いました.今思えば,この「新しい橋」がガンに侵された深浦さん最後の舞台出演だったんですね.ご冥福をお祈りします.
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上の方に書いてあるように,セラミュ・元プルートの斉藤レイさん出演の舞台「星屑の街」(新宿コマ劇場)と,同じく元プルートの中澤聖子さん出演の舞台「パパ・タラフマラの新・シンデレラ」(下北沢,ザ・スズナリ)を観るために上京した際,偶然に舞台「新しい橋」の公演情報を知ったわけですが,この映画「人生ごっこ!?」上映情報もまたその際に偶然発見したものです.実は,「新・シンデレラ」公演会場「ザ・スズナリ」の隣が「人生ごっこ!?」上映館「シネマアートン下北沢」だったため,「新・シンデレラ」の開場待ちをしているときにたまたま気がついたのでした.
上掲左画像は映画「人生ごっこ!?」のチラシ,右画像はチラシ裏面の石橋けいちゃんの写真のクローズアップです.
実は残念ながら時間の都合上,この映画を見ることはできませんでした.いかに東京といえども,一日に舞台3公演と映画1本のハシゴは難しかったのです.これもまた地方人の悲哀ナリ.
上掲左画像は「シネマアートン下北沢」前に掲示されていた映画「人生ごっこ!?」のポスターです.上の方に示したチラシと同じデザインですが,右下に劇場案内地図などが小さく入っている点が異なります.また,上掲右画像はポスターに重ねて掲示してあった舞台挨拶情報のクローズアップ.2月15日(金)に石橋けいちゃんの舞台挨拶があったんですね.
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2008年11月20-27日に theatre iwato (神楽坂) にて上演された「新しい歌」という舞台に石橋けいちゃんが出演していたようです.この公演情報が掲載されたシアターガイド誌が手元にあったにもかかわらず,全く気付かずに見逃していました.何たる不覚.
この「新しい歌」は,上の方で紹介した「新しい橋」と同じく城山羊の会(CMディレクター山内ケンジ氏のプロデュースユニット)による公演で,出演者も一部は「新しい橋」と同じ(金谷真由美さん,岡部たかしさんなど)です.さらに注目すべきは,出演者リストの筆頭にけいちゃんの名前があること.つまり,けいちゃんが主演だったのだと思われます.これを見逃したのは痛いです.なんてこった.(T_T)
なお,城山羊の会については下記サイトへ
→ http://e-pin.jp/shiroyagi/
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今頃になってこんなことを書くのも何ですが(汗),石橋けいちゃんは,2008年10月5日,逗子マリーナでめでたくご結婚されたとのことです.2008年10月中には情報を得ていましたが,何だかんだでズルズルと掲載が遅れてしまいました(遅れすぎじゃ).当方の知る限りとくにマスコミ報道等があったわけではありませんが,信頼できる情報だと思います.結婚後も演じる仕事は続ける意向のようで,これも嬉しいことです.けいちゃん,いつまでもお幸せに.おめでとう!!
情報ソース:
→ http://cubkun.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-da3e.html
→ http://kei.lious-club.net/ のBBS,2008/10/05-08の記事
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